夜明けの心臓

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

妊婦健診・その4

2016/02/16

 

某大学病院に着いた所で受付に紹介状を提出し、呼び出しを待つ。

いなかっぺの私は、その病院の大きさに驚き、産科受付で手渡された問診票の記入項目の細かさと多さにも驚いた。
私の妊娠歴・病歴のみならず、主人、親族の病歴などを何ページにも渡ってひたすら書いた。
20分くらいかかった。
ここは研究機関でもあるからこんなに事細かに書くのかな。
待合室に人は少なかったのは、私たちのような緊急の患者を診る為の時間帯だったりしたんだろうか。この大学病院に今後来ることはなく、どうだったのかは分からずじまい。
 
緊張しながらエコー室に案内されると、医師が4〜5人入ってきた。
お腹にジェルを塗られ、エコー検査が始まる。
最初に担当してくれたのは女医さんだった。
あまり口数は多くなく、小さな声で「RV…」「AO…」と何かの略語をつぶやいて、それに対して他の医師が何か意見を返す。
数人で意見を静かに交わしながら検査は進む。
不安が募るが、とても何かを聞けるような雰囲気ではなかった。
 
小一時間後、一旦お開きとなり、しばらくして呼ばれたわたし達夫婦は検査の結果を聞いた。
左心低形成症候群(HLHS)。
昨日旦那と「左心低形成症候群という最重度の先天性疾患があるんだね」「でも、うちは左心室が大きいって言われてるから、違うよ」「先天性の心臓病は多いけど、深刻な病気の確率は低いって」なんて話をしていたのに。
よりによって、その左心低形成症候群だなんて。
左心室は痕跡程度しかなく(はる君の場合)、胎児の時代にのみ存在する動脈管と卵円孔という穴が生存に必要な為、出生後に動脈管と卵円孔が閉鎖すると生存が不可能になる。
 
衝撃。
涙が出るのを必死に堪えた。
心臓病?しかもHLHS?どうして?この子は生きられないの?と一瞬でパニックに。
追い討ちをかけるように“HLHSは生後すぐに処置と手術が必要。ここ(大学病院)ではそれは出来ない”と告げられた。
ここはかなり有名な大学病院だが、ここでも手術が出来ない難病なのか。
 
当初のかかりつけの産科には
「もし先天性心疾患で転院する場合には、某有名大学病院(今回の大学病院とは別)とか、(小児循環器科のある近隣の周産期医療センター)を紹介してあげる」と言われていた。
今回はあくまで出生前診断が出来る病院として紹介だったようで、病状に応じてそのまま転院するか、もしくは小児循環器が得意な他院を紹介してくれる予定だったようだ。
 
大学病院の対応は早かった。
「○○先生ってどこだっけ?」「××病院?」とまたバタバタ調べ出し、わたし達夫婦の目の前で電話をかけはじめた。
先生は「一番成績の良い所を紹介してあげるからね」と言った。
成績が良い、とは?不思議な言い回しだ。
そして告げられたのは、自宅から高速を使って車で40分はかかる場所にある病院だった。