夜明けの心臓

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

【ニュース】iPS細胞を用いた新しい心臓病治療法が開発されています

夕方TVを見ていて目に飛び込んできた、「iPS細胞でサルの心機能回復」というニュース。
信州大学のチームがiPS細胞を用いて心機能を高めるという研究を行っていたんだって。へえ!
news.tbs.co.jp


あれ?iPS細胞で心機能回復って、シートを作ってたんじゃなかったっけ?と思っていたら、それとは別のニュースのよう。
ヒトiPS細胞から血管細胞を含む心臓組織シートを構築|ニュース|ニュース・イベント|CiRA(サイラ) | 京都大学 iPS細胞研究所
やっぱり心臓組織シートは京都大学の研究だった。

もう少し詳しく知ろうと信州大学のサイトから一般向けのページを拾ってきた。
www.shinshu-u.ac.jp

柴祐司准教授(バイオメディカル研究所、循環器内科)を中心とした研究グループが開発したiPS細胞を使った新しい心筋再生治療法の研究成果が2016年10月10日、英国科学雑誌Natureに掲載されました。10月7日には記者会見が行われました。

(引用:http://www.shinshu-u.ac.jp/institution/ibs/topics/cat5591/post-14.html

なるほど、ネイチャーに論文が掲載されたというニュースだったのね。

重症の心臓病患者に対する新しい再生医療として開発したこのiPS細胞を使った心筋再生治療法は、免疫拒絶反応が起きにくい特殊なカニクイザルからiPS細胞を作製し、心筋梗塞を発症した通常のカニクイザルにiPS細胞から作った心筋細胞を移植、そして、細胞の生着と心臓機能の回復が確認されました。

(引用:http://www.shinshu-u.ac.jp/institution/ibs/topics/cat5591/post-14.html画像引用元も同じ)

なるほど。ただし、心臓機能は回復するが、不整脈が起こりやすいとも記載されていた。

はる君が今すぐに恩恵を受けられるというような技術ではなさそうだけど、将来的に心不全が進行して移植以外には救命できない状態等、従来の治療では回復が難しい方への希望になるのかもしれない。

本当に臓器移植は心理的抵抗がまだ根強いよね。心臓移植ともなるとハードルが相当高い。腎臓や肝臓なら生体ドナーが可能、つまり提供者も提供後生きていくことが出来るのに対して、心臓は脳死患者からしか提供出来ないからね……。心臓移植を希望するのって、イコール誰かの死を望むようなものだ、みたいな意識もあるだろう。
わたし自身は脳死後、心臓を含めた全臓器を提供したいと思っている(財布の中に入れた保険証の裏に意思表示している)。これははる君が産まれたからそう考えるようになった訳ではなく、相当昔から死んだら臓器提供してもいいな、と思っていた。命のリサイクル、究極のエコだ。いや、残された家族を思うと、エゴなのか?

なんか話がずれた。

再生医療といえば、幹細胞を使用した治療方法として今年の5月に岡山大学が2度目の治験を行っているところだ。拙サイトでもちょっとだけ触れた事がある。
左心低形成症候群、単心室症等に対する幹細胞移植の治験が実施されています - 夜明け前の心臓(仮)
この岡山大学の幹細胞の治験は、単心室の類型(左心低形成症候群に代表される)の赤ちゃんが姑息術を受ける時のついでに、乳児期のポテンシャルが高い心臓内幹細胞を採取して、増殖させた細胞をカテーテルで冠動脈へ流すと心臓に染み込んで心臓機能が高まる……というような内容だった。

これは自分の細胞を使用するので拒絶反応が起こらず安全とされている。
www.okayama-u.ac.jp

岡山大学のこの治験は2019年に標準的治療法として使えるようにするのを目標にしているそうだ。冒頭の信州大学のiPS細胞の研究も、TBSのニュースのページによると「数年以内に人への応用を目指したいとしています」との事なので、こちらも期待したい。はる君が生きているうちに、わたし達の手の届くところにこの技術が来るのかな、どうかな。
どうか頑張ってください!