夜明けの心臓

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

日本小児科学会の傷害速報がすごい

幼いこどもの周りにはありとあらゆる危険が潜んでいる……ってのは決して言い過ぎじゃない。小児科の先生もびっくりするような事故も数多く発生しているようだ。

こんなページを見つけた。

Injury Alert(傷害速報)|公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

 医療現場では毎日、傷害を受けた子どもたちの診療を行っています。小児科医は、「こんな事故が起こるのか」とびっくりする事例に遭遇していますが、それらは単発で症例報告されることもほとんどありません。その情報がないため予防策にはつながらず、漫然と同じ傷害が起こっています。重症度が高い傷害を繰り返さないためには、発生状況を詳細に記録することが不可欠です。 
 そこで、こどもの生活環境改善委員会では、2008年に日本小児科学会雑誌と学会ホームページに「Injury Alert(傷害速報)」の項目を設けました。

Injury Alert(傷害速報)|公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETYより

本当にびっくりするような事をやらかす、それがこどもである(わたしも、あき君にベランダに締め出されそうになった事があった)。

重大事故の再発を防ぐ為に、いままで小児科医が個別に経験したエピソードを吸い上げて集め、こんな事あったよ〜、と教えてくれるのが今回紹介する日本小児科学会の傷害速報です。軽度で済んだ幸運なケースもあれば、不幸にしてお亡くなりになるなどの重大なケースも記載されている。我が家の男子3人、それぞれ6歳・3歳・0歳なので、今後の事故を防ぐ為に読み始めたけど、割とヘビー。痛い話がダメな人、極度に感情移入する人にはおすすめしない。

 

タイトルからして怖い

ナンバリングされた目次をクリックすると、誰が(月齢・男女の別)、傷害の種類(窒息、打撲など)などの概要とが記載され、ページの下部にはフルテキストのPDFが日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会のコメント付きでリンクされている。写真などの図解があり、ぜひPDFで読んで欲しい。

まず、最初は

  • No.001 哺乳びん・乳首の消毒剤(タブレット型)による喉頭狭窄

から始まる。

  • No.003 スーパーボールによる窒息
  • No.007 乳児用ベッドからの転落
  • No.034 歯ブラシによる刺傷(1)

このへんはよくありそうな事故。

 

飲んでなくても、中毒をおこす

傷害の種類: アセトンの受動吸入による中毒

これは、除光液の誤飲ではなく、お母さんが赤ちゃんの側で除光液を使っていたので、赤ちゃんが吸い込んでしまったという事故である。

 

余計なことしちゃう、こども

発生時の詳しい様子と経緯:ラムネを飲み終え、舌を飲み口に付けて中の空気を吸い続けたところ、ビンに舌が吸着した.これが面白くて吸い続けたところ、気がつくと舌がビンから抜けなくなった.母親に知らせ、1時間余り悪戦苦闘したが抜けないため、当院救急外来を受診した.舌が抜けなくなって約1時間後の受診であった.

ラムネの瓶に舌がはまっちゃって抜けなくなっちゃった女の子。簡潔だけど状況が目に浮かぶ文章。

 

タイトルだけでも、もう痛い
  • No.046 ジューサーによる指挫創
  • No.026 ベビーカーによる指先の切断
  • No. 058 男児用水着のメッシュ生地による陰茎包皮の絞扼

あいたたた、痛い……

 

新しい製品が出ると新しい事故が起こる。こどもは誤飲する。

色々紹介したかったけど、あまりに痛ましい事故も多くて、全部読んだら少々疲れてしまった。でも、「へえー、こんな事もあるんだ〜」と心構えをしておくのは悪い事とは思わないので、良かったら読んでみて下さい。

【こどもの生活環境改善委員会からのコメント】 1.子どもの生活環境に新しい製品が出回ると,新しい事故が発生するという原則に合致する事故である.*1

※太字は引用者

こんな事や

【こどもの生活環境改善委員会からのコメント】 1.生後6か月をすぎた乳児は,つかんだ物は何でも口に入れ,100%誤飲するといっても過言ではない. *2

こんな事言われてる。すごい言われようだけど、肝に銘じます!

 

事故を知る


事例の中には、メディアで報道された物も見受けられるが(No.026 ベビーカーによる指先の切断、No.028 電気ケトルによる熱傷(1)など)、それ以外にも沢山のこどもが様々な事故に遭っている。概要ページには要旨しかないが、PDFには日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会が考察したり、構造上に問題点がある製品については関連団体に働きかけを行ったりもしている事が記載されている。


わたし達にも“知ること”なら出来る。

事故を100%防ぐ事は不可能だけど、

  • ベビーカーに指が挟まる事がある
  • 電気ケトルには倒れた時の“漏れ防止機能”がない
  • ブドウやミニトマト等を与える時には一口で吸い込まないよう注意する

この事が頭の隅にあれば、役に立つ事があるかも知れない。

*1:No.025 自転車搬送用コンベアによる挫滅創http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/injuryalert/0025.pdf

*2:No.023 イヤホンのパーツによる食道異物http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/injuryalert/0023.pdf