病棟27日目【退院】
すでにお伝えいたしました通り、PICUから一般小児病棟に移動してから27日目で退院の運びとなりました!今回の入院生活ではたくさんの事を学んだので、お伝え出来る事はボチボチと記事にしていきます。
しかし、退院してからブログを書く時間が全然取れない!!ほんとはこの記事で退院の報告するはずだったのに、前のエントリーにおめでとうコメントたくさんついちゃった!(ありがとうございます)
2016/10/01
最後の夜の騒動
昨日は病室ははる君とわたしの二人きりだったから、他の子が泣いてもはる君が泣いても平気。さみしい。
19:30〜24:00くらいまで全然起きなかったので、目を覚ましたはる君はお腹がとっても空いていたようで、猛烈な勢いでおっぱいを飲んでいた。おっぱいのスッキリ感から言って150cc位は飲んでいたと思うけど、げぷ、げぷと奇妙な音を出したかと思うとその直後にすべて吐いた_| ̄|○
かろうじて素早く身体を離したので、わたしは濡れなかったけど、はる君がビシャビシャに……。
わーあ、おっぱいくさーい……。
ナースコールして拭いてもらって、血圧測って、着替えて、バスタオルと濡れた服を子供用男子トイレの汚れもの洗いでゆすいで、とりあえずビニール袋に突っ込んで、また授乳。
はる君はニコニコ。笑ってる場合じゃない!
飲みすぎで吐いちゃってさーって、大酒飲みのおっさんか。
髪の毛はすぐ乾いたけど、脂っぽくてカピカピになってたので、翌朝沐浴室を借りる事にした。
はる君が寝たところで、洗濯室でお洗濯&乾燥。深夜3時に乾燥機に濡れた洗濯物を突っ込んだところで力尽きたのか、気がついたら付き添いベッドの上で朝になっていた。
創部確認
身支度をして、はる君を洗って、帰り支度をして外科の先生を待つ。
もうトランクに荷物詰めちゃったからね!今更もう一泊とかヤだからね!
来たのは外科主治医のエノモト先生(仮・イケメン)。
よっしゃ\\\\٩( 'ω' )و ////
「大丈夫、キレイですよ。
今日から傷口をシャワーで流してok。
退院です、おめでとうございます。」
ありがとうございます!
この時点でようやく退院が確定した!!
一緒に記念写真を撮ろうと、看護師さんにカメラを渡すと先生が「えっ!ぼくも一緒に写真に入っていいんですか」とのたまった。
いやいや、先生と一緒じゃないと意味無いからな!?わかるよね?
小ボケをかます先生……。天然か。
エノモト先生、毎朝目の保養をさせていただきありがとうございました。TCPCフォンタン手術の時もお世話になると思うので、来年もよろしくお願いします。
ムンテラ、そして退院へ……。
旦那が来たので、内科主治医のシマノ先生のムンテラ(病状説明)を受ける。
以下箇条書きで
- 今回の入院は、ノーウッド後の低酸素血症の進行→カテーテルで心臓、血管の状況を検査→グレン手術・大動脈弓修復→RV-PAクリッピング→癒合不全により創部加療(VAC)*1という経過をたどった
- 術後の現状は
- フォンタン手術(根治術、最後の手術)は体重10kgが目安
- フォンタン手術が可能な条件で大事な事:
- 肺動脈が充分に太く、抵抗が低い事
- 心室が元気に動く事
- 三尖弁の逆流が少ない事
- 肺の血管を育てる為、夜間のみ酸素吸入要
- 退院後に気をつける事
- 風邪を引かせない事
- 泣かせすぎない事
- 低酸素血症が進行すると側副血行路が出来るのと、ガス交換を行わない無駄な血管が肺に繋がる
- シナジス(RSウイルスの抗体の注射)を毎月打つ
こんな感じ。何点か補足。
- 100%グレン手術になった場合は、肺に流れる血液が全て上半身からの血液になるが、ノーウッド手術の時に行ったRVPAの人工血管(佐野手術とも言う)がいい感じに流れている
- 肝臓を通した血液にはかんいんし(肝因子?)を含み、血管を育てるのに役立つ
- フォンタン手術までに肺動脈を7〜8mm位まで育てて欲しい
- シナジスはワクチンとは違う。RSウイルスの抗体そのものを注射する。だから、かかりにくくなるのではなく、かかったとき重症化するのを防ぐ
ムンテラの前に、シマノ先生はわたし達両親に「入院が延びてしまってすみません」と謝罪した。
主治医シマノ先生のはる君に対する方針は「普通に育ててください」という事だ。
ネットで色々調べたり、同じく左心低形成症候群の親御さんのブログを読みまくって、すっごく心配症になってしまった私は、何度もシマノ先生とツマブキ先生に質問した。
シマノ先生は飄々としているけど、わたし達の質問にその都度簡潔に、納得できるだけの論理で教えてくれたし、ツマブキ先生は親しみやすい雰囲気で気安く「はる、元気か?」と声をかけて下さるので、細かい質問もしてしまった(シマノ先生はツマブキ先生の上級医)。でも細かい質問に毎回とても優しく教えてくれた。
お母さん、はる君を普通に育ててください。だって!
はる君のように、最重度の心疾患を抱えた親にとって、こんなに嬉しい言葉はない。
注:これははる君のケースです。個々の患児によって病状は異なりますので、必ず主治医の意見に従ってください。
はる君の病気が軽いという事では決してない。
左心低形成症候群は、現代においても先天性の心奇形で最も重い物のひとつだということに変わりはない(海外の場合は、左心低形成症候群等(単心室の類型)は心臓移植の適応になる、と言えば重要度は伝わるだろうか)。でもあえて、その重大さを充分にすぎるほど熟知しているシマノ先生が言う「普通に育ててください」には相応の重みがある。
Dr.シマノ「ICU・PICUに入院しているより、
家庭で育つ方が発育・発達に良いと言う事が分かっています。風邪を引かせないで下さい。それ以外ならokです」と言うので、お兄ちゃん達と大きく差をつけずに育てられたらいいな、と考えている(ただし、水泳や格闘技など、危険度が高い特定のスポーツは禁止になる可能性もある)。
入院中お世話になった看護師さん、お母さんに挨拶をして、会計を済ませて病院を後にした。
また会おうね!
でもね、退院はスタートだったの。ゴールじゃないの……。
退院日はご飯が作れなかったので、デリバリーピザを頼んだ。
ピザを食べてコーラを飲んだら、下界に出た、という気分になった。