北斗の拳ごっこ(夜明け前の小児病棟)
■小児病棟で北斗の拳ごっこできたよ
ここは荒廃した世紀末*1。
砂埃の中、幾人かの哀れな難民がさまよっている。彼らは荒くれ者どもに住処を奪われ、なけなしの麦を持って新しい土地を求めて移動しているのだ。中には、ぐずる赤ん坊を抱いた貧しい身なりの女もいる。
(夜中大部屋でぐずると他の親子の迷惑になるので、はる君をスリングで抱っこしながら、病棟を歩き回る)
母親の足がもつれる。
「CALMIN、歩みを止めてはダメだ!いつまた襲われるかわからんぞ!」
(立ち止まると泣くから、一定のリズムで歩き続ける)
ボロをまとった中年の男が母親に声をかける。その表情は疲れ果てていた。
「……なあCALMIN、これ以上HAL(はる君)を連れて行くのは無理じゃないか?」
「嫌!そんなの絶対にイヤ、この子を置いて行くなんて!」
「しっ!静かにしろ!!」
いつ何時ヒャッハーしたモヒカンが襲ってくるかもわからない。女子供がいる事を悟られるのはまずい。
(病棟ではお静かに!特に深夜は)
「HAL……泣かないで……」
「見ろ、あそこに木が生えてる!」
(おもむろに給水器に近づく)
BEEP!! BEEP!!
しまった、見つかったか!?
(センサーが外れてアラートが鳴る)
近くに身を隠す場所等は無い。これまでか……。
諦めかけた彼等の前に現れた人物は、若く、健康そうな女性だった。清潔そうな身なりをしており、武器(体温計)こそ携えているが敵意は無いようだ。
(夜勤の看護師さん)
「あら、貴方達……。貴方達もオアシスを求めて来たのね?」
(「あら、CALMINさん、はる君眠れないですか?」)
「はい!」
(「はい……」)
「安心して、ここに危険は無いわ」
そう言うと、彼女は難民一人ひとりに怪我がないかと声をかけ始めた
(定時のバイタルチェック)
「大変だったでしょう……」
(「はる君大変でしょう……」)
「……んん、そ、そうですね」
(あ、やっぱ大変なんやな)
気がついたらはる坊は寝ていた。
夜明け前、午前4時。