夜明けの心臓

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

術前入院1日目【インフォームド・コンセント】

 使える心室が1つの先天性心疾患を単心室循環症候群と総称する。*1はる君の左心低形成症候群もそう。単心室循環症候群の子達が目指す手術がフォンタン手術だ。今回の入院はそのフォンタン手術のための入院になる。

2017/12/11


 去年は3回もの心臓手術(+再手術)を生後半年の内にやったんだよね。遠い昔の話みたいだ。自分のブログを読み返すと面白い。すごくがんばってるので、自分じゃないみたい。しかし、まるきりポジティブバカだね!辛いことを辛いと書くのがキツかったんだろう。全体的には明るいんだけど、どことなくあきらめのムードもある。去年のわたし、ブログを書き続けてくれてありがとう。

1週間ぶりの小児病棟

 はる君は病棟に着くなりハイテンション!おもちゃでたっぷり遊べるプレイルームを見たからだ。先週会ったお友達にも再会できた。今回は病院に着いてすぐインフォームド・コンセント、つまり手術前の説明があった(内容はインフォームド・コンセントの項に記載)

検査ざんまい

 手術の前だから、フルコースで検査がある。今回は、外科の先生からの要請でCTも撮影した(後述)

  • 体重測定
  • X線
  • 心電図
  • 血液検査
  • 心エコー
  • CT

 はる君の血管はすごく採血しにくいらしく、採血のために処置室に入ってから出るまでに20分かかった。

インフォームド・コンセント

 今回も執刀医は、今まで全ての手術(両肺動脈絞扼術、ノーウッド手術、両方向性グレン手術)の執刀をしてくれたBJ先生(仮名)。
新生児から高齢者までの高難度の手術を引き受け、人工心肺の開発にも携わっている凄い先生(語彙力貧乏)だ。日によっては1日に2件の心臓手術を執刀することもあるという。他の施設で半日ほどかかるノーウッド手術が、はる君は5.5hくらいで終わった。手術中に心臓を止める時間が短いから身体への負担が少なく、予後が良好になる。とにかく凄い先生だ(2回目)。

フォンタン手術

 前回行った手術は両方向性グレン手術。上半身からの血管を肺につなぐ手術だ。フォンタン手術は、下半身からの血管を人工血管をつないで延長し、肺につなげる手術だ。人工血管は18mmの太さを使う。
先週のカテーテル検査で、肺動脈の一部によじれが生じている。可能なら、胸を開いたついでに外科手術で肺動脈を形成し直すそうだ。

フォンタン循環の要件

 何度か聞いている話で、特に重要なのは3項目ある。

  1. 肺動脈が太く、圧が低いこと
  2. 三尖弁の逆流が少ないこと
  3. 心室の動きが良いこと

 はる君は、肺動脈の圧は問題ないが太さはあまり良くないとのこと。三尖弁の逆流について、以前は中程度の逆流だったのが、成長したら逆流が改善されたようだ。心室の動きについては、毎月のエコーでも見てもらっているが、特に問題はなさそうだ、と言われた。

 グレン手術は上半身からの血管を直接肺につなげる手術。結果、上半身に急激に圧力がかかってひどくむくんだ。

 フォンタン手術では下半身の血管を肺につなぐため、下半身に圧力がかかる。それまでかかっていた圧力は5〜10程度だったのが、15〜20程になる。この圧力があまりに高い場合には肝臓が腫れてむくみ、循環が成立しない。

 まれに、フォンタン循環が成立せずにグレン循環に戻すケースもあると聞く。

開窓フォンタン

 小児循環器内科主治医のシマノ先生からすでに言われていたが、人工血管と心房の間に4mmくらいの穴を開ける、開窓フォンタンとなる予定だ。穴があることで動脈血と静脈血が混ざり、酸素飽和度は下がる。

輸血

 人工心肺の内部を液で満たしてアイドリングをする。体重8kgくらいのはる君の場合は200ccくらい使う。つまり、その分血液が薄まる。貧血状態だと酸素を運ぶ赤血球が少ないということだから、今回は貧血を防ぐために輸血する可能性が高い。

ICUの滞在期間

 術後2日間は細心の注意を払って全身状態を確認し、圧力と酸素のかね合いを見るそうだ。ドレーン(胸から余分な水分を出す管)から水が少なくなり、バランスが取れたら尿が出る。尿が良く出るのは身体のバランスがとれるから。

 フォンタン手術の場合、術後の経過はかなり個人差が大きく、ICUから2日で病棟に降りてくる子もいれば、ICU→PICU→病棟ときて合併症で再手術という子もいる。


 今回、予定では手術は5時間くらいかかる見込みだそうだ。はる君には明後日の手術の話をした。きょとんとしていた。はる君、みんな応援してくれてるよ。がんばろう。

したっけ、また!