夜明けの心臓

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

フォンタン手術

2017/12/13

 遅くなりましたが、手術当日の記録です。

前夜

 手術前夜、大部屋で一緒になったおにいちゃんが「こわいよ、おうちに帰りたい……」とすすり泣くのがハートにこたえる。そっと部屋を抜け出した。病棟には他にも眠れないお子さんとおかあさんがいて、いつメン(いつものメンバー)同士アイコンタクトで「お疲れさま」を送り合う。

前日20:00……食止め

 固形物はここで終了。さほど食べないがいつものこと。ご飯を適当に食べた後は、病棟の廊下を「んぐ!んぐ!」と指差すので、遊びに行った。

当日5:30…ミルク止め

 看護師さんに起こしてくれるようお願いしていたが、それより早く起きていた。はる君の足を揉んでむりやり起こす。怒って泣いたので、良く飲んだ。この時は気がつかなかったけど、これが最後の授乳になっちゃったかもしれない。

8:30…水分止め

 お茶、水は以降ストップ。麦茶を15ccだけ飲んだ。ここで腸の中をきれいにするために浣腸をする。はる君、看護師さんが色々な器具を持ってきた時は何か嫌なことをされる、って気がついたみたい。シリンジ(注射器から針を除いた容器)にたっぷり満たされた液体がお腹に入って号泣したのではる君に謝る。

 この後、4回に渡ってうんこが大量に出た。卵くらいの重量感のが×3回出たので、体重がものすごく減ったんじゃないかな……。

9:30…眠くなるおくすり

 0歳のときはエコーのとき&夜中にどうしても眠れないときにトリクロリールシロップというオレンジ色の薬を飲むことがあったが、手術前に飲んだのは硫酸アトロピンという 薬だった。眠気でぐずぐずしていたので、飲んでからすぐに眠りについた。

10:35…手術の時間が決まる

 担当の看護師さんに、手術の時間が決まったことを告げられた。この日は一例目の手術ではなかったので、正確な手術の時間は当日じゃないとわからなかったのだ。
11:15から手術で、11:10に部屋を出るそうだ。

11:10…手術室へ

 はる君はまだ寝ていた。行く直前に手をぎゅっと握ったら起こしてしまった。

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 見送ったあと、看護助手さんがはる君の服を返しにやってきた。目を覚ましたはる君が泣いちゃうんじゃないかと心配していたけど、エレベーターに乗ったとたん、振動が楽しかったのかクスクス笑っていたそうだ。お、おう、そうか……。

 ICU近くの家族の待機ロビーに移動する。予定では5時間くらい。無事に帰ってきてね、はる君。寝不足だったので、スマホを握りながらうたたねをしていた。


15:45…ICUのチーフ看護師さんが来る

 予定より少し早めに看護師さんが同意書を持ってきた。目覚めた時に暴れてしまうと生命が危険にさらされるということで、体動制限をすることの同意を求められたのでサインをする。手術は終わっており、これからICUに移動するところだという。

16:04…ICU呼び出し

 まずBJ先生(仮名)から手術の結果についての説明を受けた。予定通り、18㎜の人工血管をつなぎ、心房と人工血管の間に4㎜の穴をあけた。狭窄していた肺動脈をついでに直した。

 酸素飽和度(SpO2、血液中に溶け込んでいる酸素の濃さ)は85%で、術前にシマノ先生(仮名)の予想した通り。
面会時間はわずか2~3分。はる君はよく寝ていた。グレン手術のときよりは顔色が良い気がする。
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フォンタン手術は全身の血行動態を大きく変える手術だ。目が覚めたら、きっとはる君は大きな声で泣くだろう。泣くと血圧が急激に上がり、泣き止むと下がり、身体の中はめまぐるしく変化する。


手術の直後、こんなふうにツイートした。そう、答え合わせはこれからだ。
酸素濃度が上がり、尿がよく出るようになれば循環がよく回っていることを表す。

後ろ髪を引かれる思いでICUを後にした。