夜明けの心臓

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

わたしが決めたことは少ししかない

迷いはいつも

はる君が産まれてから、いや、産まれる前から「迷い」は始まっていた。
はる君は“左心低形成症候群”、生まれつきの心臓病の中でも最も重い心臓の奇形を持っている。左心室は重度の低形成で、スリット状になっているほどだった。

本当にこの子を育てられるだろうか。
リスクの高い心臓手術を複数回行わなくてはならず、命を落とす可能性も、重い障害が残る可能性もあった。

新生児期の心臓手術はタイミングが重要で、迷っているうちに時間は来てしまう。
はる君は生後一週間で初回の心臓手術を受けなくてはいけなかった。
わたしが決められることはほとんどなかった。
手術の同意書にサインをしたら、もう戻れないんだな、と思った。
術後、眠ったままのはる君に面会したときには涙が溢れた。
その時、迷いは消えた……なんて現実はドラマチックにはいかず、いまだに迷い、葛藤している。


ブログを始めた時にひとつだけ決めたことがある。
どんな結末を迎えようと書き続けるということ。
それはわたしを縛る一方で、前に進む力にもなった。
ブログを書くのが苦痛な時はあったけど、ブログを書くことに支えられている面も確実にあった。

カミングアウトの決断

内部障害、つまり見た目では分からない障害をもつ人なら誰でも抱えるであろう、障害をオープンにするかどうかという悩み……。
はる君については、今のところは基本的にオープンにしていこうと考えている。

はる君の心臓は現在グレン循環という、普通の心臓とは大きく異なる循環になっている。
これから目指す心臓手術はフォンタン手術と言うが、並列つなぎを直列つなぎに直すような特殊な循環になる。
手術が成功しても、健康な人と同じになれるわけではない。


はる君はいずれわたしの元から巣立つのだから、自分の体のことは自分で知っておかなくてはいけない。
してはいけない事を知り、しんどい時は休み、体調をコントロールしなくてはいけない。病名を言え、自分の心臓の絵を描けて説明できるようにならなくてはいけない。

はる君はわたしを疎ましく思うかもしれない。
自分の体を呪い、産んだわたしを呪うかもしれない。
それでも、進み続けるしかない。
はる君の未来を信じると決めたから。


#「迷い」と「決断」

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