玉子焼きの話
その家庭独自の味付けをおふくろの味、なんて言うんでしたっけ。
わたしも母も亡くなった祖母も玉子焼きをよく作りますが、それぞれの味付けはばらばらなのでした。
祖母の玉子焼き
祖母の玉子焼きはとにかく甘い味付けが特徴的です。お菓子のように甘〜く、醤油をかけて食べるとあまじょっぱくて美味しいです。
玉子焼き器を使って巻きます。出汁は入れません。色は黄色が濃くて、少しの焦げ目があります。
ある日祖母の隣で玉子焼きを作るところを見せてもらいましたが、卵ひとつにつき大さじ1杯程の砂糖を入れていました。甘いはずです。
北海道は料理に使う砂糖の量が他の地域より多いと聞きます。
祖母の料理は全体的に味付けが甘く、幼いわたしは祖母の甘いお料理を喜んで食べていました。
いつか再現したい玉子焼きです。
(砂糖の量におののいてしまい、中々作る勇気が出ません。相当焦げやすいと思います)
祖母のレシピ
- たまご…3個
- さとう…大さじ3
- しお…小さじ1/3
母の玉子焼き
今でこそ疎遠になってしまった母ですが、専業主婦だった母は毎日家族のために手料理を作ってくれました。
母の玉子焼きは祖母よりは砂糖が控えめでした。
庭のプランターでパセリを育てていたのを摘むのが小さい頃のわたしの仕事でした。
パセリを細かく刻んで入れた玉子焼きはわたしの好物でした。
母の玉子焼きには色々な具が入っていました。パセリの他にも刻んだピーマン、長ネギなど。
ここまで書いていて気がつきましたが、子どもが苦手な野菜を食べさせようという親心だったのかもしれません。
そのおかげか、わたしは食べ物の好き嫌いがない人間に育ちました。
味付けの他に特徴的なのはその形でした。
うちには玉子焼き器がありませんでした。
どうしていたかと言えば、丸いフライパンに卵液を流し、まずスクランブルエッグの手前まで火を通します。次に両端を少し畳むと長細い楕円になるので、端からくるくると丸めていくと玉子焼きのようなオムレツのような形にまとまります。
(分かりますかね?)
母のレシピ
- たまご…3個
- さとう…大さじ1弱
- しお、こしょう…少々
- 好みの野菜、香菜…適宜
わたしの玉子焼き
わたしの玉子焼きはだし汁と砂糖の入った出汁巻き玉子です。
味付けに秘訣はありません。市販の白だしの素に書かれている通りのつゆと水を入れ、さらにたまご3個につき砂糖を大さじ1入れるだけの簡単レシピです。
しかしだし巻きをうまく焼くのには訓練が必要です。
この卵液は強火でガンガンに熱した玉子焼き器でないと巻けません。水分が多いので弱火だとたまごが固まらずにこびりついてしまいます。
砂糖が入っているため焦げやすく、卵液を入れた後はすばやく作業をする必要があるのですが、多目の水分のせいで崩れやすい……と巻くのに苦労します。
何度も失敗作を積み重ね、最近はようやく安定して綺麗な玉子焼きが作れるようになってきました。
出来たてはふんわりと湯気が立ち、口に入れるとあまい出汁がじゅっと染み出す、誰でも大好きな美味しさだと自負しています。
わたしのレシピ
- たまご…3個
- 白だし…小さじ2
- 水…大さじ2
- さとう…大さじ1