夜明けの心臓

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

はる君が1歳になりました&当ブログが1周年を迎えました

なんだか文章が書けなくなってしまって、しばらくぶりの更新になりました。
これ以上寝かせても良い記事にはならないと判断しましたので公開します。


1年とちょっと前の4月25日、わたしは第三子を出産しました。
苦しいことも辛いこともありましたが、楽しいことも幸せを感じることもたくさんありました。
わたし達の戦いはまだまだこれからですが、1歳の記念エントリとしてここに記します。

告知

この子は産まれる前から重度の心臓病だとわかっていました。

1/10000の確率で産まれる左心低形成症候群。救命する方法は手術のみ。
はじめて告知を受けた時は深い悲しみと激しい自責の念にさいなまれました。

危険度が一番高いのは早産と言われていたのでひたすら安静にしていたら予定日を超過してしまい*1、分娩の誘発をするために前日に入院しました。

出生

なんだかんだしてたら産まれてくる気配を感じて、日付が変わるか、変わらないかの頃にはる君は誕生しました。

産まれたばかりのはる君を抱けた時間は1分にも満たなかったと思います。
左心低形成症候群の赤ちゃんは、胎児期にのみ存在する動脈管という血管が閉鎖してしまうと生存出来ないため、生後すぐ処置のため連れていかれたのです。


夫は立会い出産希望で、産まれたばかりのわが子を抱くのを楽しみにしていたから少し気の毒でした。
一人で出産した後、今後のはる君の人生の苦難を想像すると悲しくて、こらえても涙が出ちゃうので困りました。
(我慢しないで泣いても良かったのにね)




生後5日目の写真


NICU(新生児集中治療室)は一般病棟にくらべ面会時間が短いのですが、産後のお母さんだけは24時間面会可能です。
せっせと搾乳をして、深夜もはる君に会いに行きました。

両肺動脈絞扼術

(生後1週間)

左心低形成症候群は大動脈(身体へ行く血管)が極細、肺動脈(肺へ行く血管)が極太になる心奇形です。
肺に血液が行き過ぎると心臓への負担が高まり心不全が進行するので、肺動脈をテープですこし絞って調節します。
これを両肺動脈絞扼術(両肺動脈バンディング)と言います。

誕生日は過ぎたのですが、これまでの一年を振り返るとこのあたりが一番つらくて、ここで筆が止まってしまうのでなかなか更新できずにいました。
なので、画質の悪い写真だけupしておきます。
よほど辛かったのか、初回手術の時のことはブログに書いていませんでした……。
思い出したらそのうち書きます。

手術直後


だんだん良くなって来た

親バカだけど目力すごいイケメンボーイだと思った

ここまでNICU時代

一般病棟にうつりました……が状態が悪化しNICU逆戻り

ノーウッド手術

(生後約1ヶ月)

www.calmin.org
執刀医は素晴らしい腕の方で、通常だと5時間程度でノーウッド手術を終えるとおっしゃっておられましたが、実際は6時間程度かかりました。
わずか1時間でしたが、待つわたし達両親にはひたすら長く、何度も時計を見直していました。
「前回両肺動脈絞扼術の癒着がひどかったため時間がかかった」との事でした。


この頃“はる君はずっと病院で頑張っているのに、わたしは日常生活を普通に送って良いんだろうか”?とずっと考え込んでいました。

わたしはロボットになろう、何も考えない。悲しくならないロボットになろう。
わたしはロボット、かあちゃんロボット、悲しくなんてない、ロボットロボット……。
とかやってたら産後うつ病の危険域に足を突っ込んでいた、なんてこともありました。



はる君はがんばりました

ノーウッド手術は最も難易度の高い心臓手術の一つと言われます。実績のある施設にかかることをおすすめします。
年間の手術数が指標の一つとなります。年間何例の小児心臓外科手術があるかおたずねになれば良いかと思います。セカンドオピニオンを受けることも可能です。
ただ、産後は時間的な余裕はほとんどありません。出生前診断を受けて判明した場合、産前に病院を探すことになるでしょう。

はる君の場合は、出産予定だった産婦人科→大学病院→さらに高次の病院へ二度の転院をしました。


その後はめきめきと回復し、産まれて初めて外の世界に触れた時の記事がこちらです。
www.calmin.org

緊急入院

(生後3ヶ月)

退院後初の外来で入院したり
www.calmin.org

緊急入院&グレン手術

(生後3ヶ月)

酸素の値が低くなり(ノーウッド手術で形成した大動脈がねじれて血流が滞っていたため)、急遽カテーテル検査をしたり

その結果、グレン手術適応となって手術したり

グレンの調整がうまくいかずに翌日やり直しをしたり

この入院中から付き添い入院中はほぼ毎日更新していました。

手術前夜

術後

入院中の記事は
www.calmin.org
こちらへどうぞ。

そして退院へ・・・。

www.calmin.org
この時は約1ヶ月程度付き添い入院をしていましたが、他の病児ブログを読むとむしろ短いほうみたいです……!
はっきり言って1ヶ月いただけで結構しんどかったです。

生後6か月の時にも記念エントリをあげていましたね。

おだやかな日

その後もなんやかやと発育を心配したり、インフルエンザにかかったり(インフルエンザですの巻 - 夜明け前の心臓(仮))、育休延長でひと悶着したりと色々ありましたが、幸い今はおだやかな日々を過ごしています。


はてなブログに来てから1年が経ちました

……ところで、先日はてなさんから開設一年のお祝いメールが届いていました。
実ははてなに来る前はBBIQという九州のプロバイダーさんの提供するブログサービスでほんの少し記事を書いていたので(その時の記事は全て移行済み)、ブログを開始してからは1年と2ヶ月くらいは経過していたのでした。

あきっぽく、こらえ性のないわたしがよくもまあ続いたものだと感心します。はてなブログは他のブログサービスと少し違う気がします。
コメント欄での交流が少ないかわりにはてなブックマークでコメントを残す文化があり、独特の雰囲気が漂います。なんか妙な感じです。すきです。

得難い経験をたくさんさせていただきました。
すてきなプレゼントをいただきました件については、別にしたためたいと思います。

人生の目標ができました

わたしが死ぬまでに、子どもが自分でご飯を作って食べることが出来るようにすること。
これですよ。
部屋汚くても死なないけど、ご飯食べないと死ぬ。

はる君の心臓病がわかったときは、根暗な楽天家であるわたしもさすがに人生詰んだ……!と思いましたが、どっこい生きてます。


なんだかとっちらかった文章ですが、したっけ、また!

*1:妊婦さんと医療の努力に関わらず早産する時はします。