夜明けの心臓

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

コイル塞栓術入院1日目(2017/11)【がんばるぞ】

2017/11/28

 いよいよフォンタン手術*1へすすむことになった。
はる君の体は低酸素状態が長く続いたため、側副血管という不要な血管が発達してしまった。この不要な血管をコイルで塞ぐため、今回はコイルを血管内において詰めるというカテーテル治療を行う。コイル塞栓術(そくせんじゅつ)という。
www.calmin.org
↑カテーテル検査の結果についてはこちら

術前検査

 ここのところ、
病院行く

プレイルームで楽しく遊ぶ

診察室に入る

「「「だましたな、びょういんじゃねーか!!」」」

無慈悲な注射
という事例が相次ぎ、楽しい場所に着いても警戒してしまうクセがついていた……のだが、きょうは病棟に着いてすぐ楽しく遊びはじめて一安心。

 カテーテル前ということで、一通りの検査を行った。

身体測定

体重 8.95kg
身長 74.9cm

 この体重の値は服と濡れたオムツ込みの値なので正確ではない。

X線撮影

 いつものようにギャン泣き。

エコー(アンパンマン様、ありがとう)

 いつも診察室で主治医のシマノ先生(仮名)が覚醒している状態で超音波検査をしてくれるんだけど、直前の診察ではギャン泣きのためできずに終わった。
今回、いつものようにトリクロ*2で眠った状態でやるのかと思っていたら、機嫌がいいのでこのまま診るそうだ(!)。

 心配していたが、小児エコー室にはなんとアンパンマンのDVDがあった!DVDをルンルン気分で見ていたのはオープニングの間だけで、本編には興味がないようだった。アンパンマンとカレーパンマンという名作回だったので、じっくり見て欲しかった。カレーパンマンが口から出したルーで作ったカレーを振る舞うのだ。
途中ぐずったりもしたが、エコーは終わった。DVDの空きパッケージは散乱し、はる君と先生がエコーの機械を奪い合い、ベットベトになっていた。

 アンパンマン、ありがとう。

それいけ!アンパンマン ザ・ベスト みんなだいすき!アンパンマン [DVD]

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心電図

 おかあさんといっしょを見ながらだったので余裕だった。おかあさんといっしょ最強。

 前回記事でタブレットのアームをもちものリストにいれたが、フレキシブルアーム、ダメかも。やっぱりくにゃんってなってる。

採血(兼点滴用ライン取り)

 消毒薬の匂いの処置室に足を踏み入れた瞬間、はる君は悟った「ここ、ヤバい場所だ!痛いことされる!!」と。
 10分後、汗びっしょりで出てきたはる君は、今までに見たこともないような凄まじい形相でツマブキ先生(仮名)を睨んでいた。

主治医の説明

 カテーテル治療は心臓手術と比較すると体への負担は少なめだが、それは手術に比べたらの話。体への負担は小さくはない。

コイル塞栓術

 コイルはくるくるの形状記憶した素材(プラチナだって)を伸ばしてカテーテルに載っけて、血管を塞ぎたいところに留置すると丸まるそうな。そのコイルの丸まりに自分の血液に含まれる組織がからみつき、完全に塞がるという仕組みだそうだ。
 金属だから当然レントゲンに映る。MRIも取れる(非常に強い磁気を利用した検査のため、体内に金属が入っている方はMRIを受けることができない場合がある)。

 大動脈(心臓→体への通り道)からは右手、左手、頭部と3本に別れ道がある。そのうち、右手と左手に行く血管から肺への短絡が出来ている。動脈→静脈へ流れ込んでしまうので、これを塞ぐ。まず確実なのは2本で、カテーテルをしながら詰める場所は増える。

予想される合併症

 主な合併症のうち、一番頻度が高いのは発熱と言われた。体に入った異物に対しての反応が発熱ってなんとなく理解できる。コイル塞栓術で入院するときは、着替えをいつもよりも多く持って行くのがいいかもしれない(汗をかくだろうから)。

 そして、はる君の場合はサチュレーション(血中酸素飽和度)の低下が予想される。体に行くはずの血液が肺に流れることで70%の酸素飽和度を保っていたが、そこを塞いでしまうので……。
塞栓術後にサチュレーションが下がる、または発熱などで自宅での管理が難しい場合、手術まで退院ができないかもしれない。
来週は面談が4つも入っている上、シナジス(RSウイルスの予防接種)と保育園の申し込みがある。言うまでもなく最優先事項ははる君の命だけれども。

MRSAに感染していた

 11/10の診察で、初めて外来でMRSAに感染しているかの培養検査を受けた。口、鼻、肛門の三ヶ所でチェックした結果、鼻からMRSAが検出された。MRSAはメシチリン耐性黄色ブドウ球菌の略称で、つまり薬が効きにくいやっかいなやつ。ありふれた菌で、健康な人なら特別な対策をしなくても問題はない。ただ、手術の後など抵抗力が弱った時に感染すると、生命に関わることもあるそうだ。
参考リンク:MRSA|感染症の種類と特徴|感染対策の基礎知識|福祉ナビ|サラヤ株式会社 企業法人向け

 はる君もグレン手術のときにMRSAとESBL産生菌の両方に感染してしまい、入院が長引いた。
http://www.calmin.org/archive/category/グレン手術

 対策として、入院中朝昼晩の3回×3日間、鼻に薬を塗って除菌することになった。

 カニューレ(酸素の管)をずらし、鼻の穴に薬(ワセリン状のべとべと)を塗ってぐりぐりするのが思ってたより難しい。素直に看護師さんに手伝ってもらう。
3日間の処置が終わったら、またサンプルを取って菌がいなくなったかチェックする。退院後は外出を極力控えなければいけないんだけど、外出機会があるので嫌がろうとマスクをさせるよ……。

 カテーテル治療に備えて早く寝たかったけど、いつもと環境が違うせいか、はる君は興奮してなかなか寝付けず、夜中も「乳児か!?」ってくらい起きた。ねむいです。


 1日目はこんな感じ。したっけ、また!

*1:左心低形成症候群など、単心室とその類型の患者が最終的に目指す根治手術。通常、肺と体は心臓を軸に並列になっているところを、心臓→体→肺→心臓……と直列につなぐ。

*2:トリクロリール、小児用の眠くなる飲み薬