夜明けの心臓

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

コイル塞栓術入院3日目(2017/11)【発熱】

2017/11/30

 今年もあっというまに過ぎていく。去年もあっというまだった。

主治医の話の補足

カテーテル治療で予想される合併症

  • コイルが血液の組織にぶつかることによる溶血
  • 発熱
  • 酸素飽和度の低下

 主な合併症はこの3つ。それぞれの値があまりに悪い場合、退院せずにフォンタン手術*1まで入院を継続することになるかもしれないとのこと。

 今日の血液検査の結果、溶血に関しては大丈夫そう。
問題は発熱と酸素飽和度(血液の中にどれだけ酸素を取り込めているかの値)の低下だ。昨晩は平熱だったがぜんぜん眠れず、7時前には38.6℃とかなり上がっていた。
酸素飽和度は65%とかなり低めだが、これは術前に言われていたとおり。術前の70%は動脈から肺へ横道にそれることで維持していた数値だったみたい。グレン循環での理想は80%前後だ。はる君は低いね。

血管がぐにゃぐにゃなのはなぜ?

 はじめてはる君の心臓の3Dモデル映像を見せてもらった時、普通の心臓とはあまりにもかけ離れた様子を見て結構ショックを受けた。一般的なイメージとかなり違って、蛇行した血管がもじゃもじゃ生えている。

 これは胎児循環のなごりだという。

 出生後、肺で酸素化された血液が全身を巡るうち、ごく細い血管には血液が流れにくくなり、普通はやがて閉じていってしまう。
はる君のように心臓で動脈血と静脈血が混じり合うチアノーゼ型心疾患児の場合、酸素が足りない血液をなんとか全身に巡らせようとするので胎児循環のときの血管が衰退せず残るようだ。

 出生後に閉鎖する有名な血管がある。動脈管だ。先天性心疾患児の中には動脈管が開いていることが生存の条件になる子がいる(動脈管依存性先天性心疾患)。はる君もそう。
胎児循環の血管って、産まれた後の環境に適応するためのバッファなんだろうか?
いや、しらないけど。


 思えば、おかあさんのお腹の中で羊水に浸っていたのが、産まれてすぐに肺呼吸に変わるなんてすごくない?なんて過酷な。そりゃ泣くよね。
陸上生物はどうして二心房二心室なんだろう。複雑化したせいで、少しのエラーも致命的になってしまってる。どうして単心房単心房に進化しなかったんだろう……。疑問は尽きない。

発熱

 朝は幸い昨晩の熱も下がった。
元気に遊んでいたかと思った矢先、また発熱した。あやしても授乳でも全然泣き止まず、酸素飽和度は一時40前まで落ち込んだ。

 看護師さんと主治医も飛んできた。
酸素流量を2L→3Lへあげた上で、ボンベから酸素を流しつつ、壁から供給される酸素もアンビューバッグに流して、いつでも蘇生できるようにセッティングされた。

アンビューバッグ
 再び点滴をして、解熱剤を使って少し眠ることでようやく落ち着いたが、以降は酸素流量は3Lで様子を見ることになった。

 体に異物が入ったことと、今までの血行が急に閉塞したことがはる君の体に強烈に作用しているみたい。予定では明日退院となるが、むしろ今帰って容態が急変したらその方が怖い。がんばれ。



※2017/12/01現在、退院延期。マジか……。

*1:チアノーゼを解消するための根治術