夜明けの心臓

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

はる君2歳になる(+注入メモ)【病棟20~21日目】

注入の練習、実習

2018/04/24(火) テイクダウン後126日目

 昨日は紙のマニュアルと使用する器具をもらっただけで終わったので、今日から注入の実践を行う。

おくすり注入手技メモ(私家版)

 マニュアルと、看護師さんが教えてくれたポイントをまとめたもの(たぶん大丈夫だと思うけど、間違ってたら教えてほしい)。あくまで自分用のメモなので、自宅で注入を行う方はこの記事は参考程度にとどめ、必ず主治医と看護師さんの指示に従ってください。

  1. 薬が正しいか確認し、白湯で溶いておく
    • 朝/昼/晩、薬の種類、量は合っているか
    • 白湯の量は2〜4mLで良い(薬の量に合わせて加減する)
  2. 管が胃に確実に入っているかチェックする
    1. 胃残を確認
      • 空のシリンジをつなぎ、引いて胃の内容物を確認(消化出来ているか、変な物は引けてないか)
    2. 胃泡音を確認
      • シリンジから少量の空気を送りこむ
      • 聴診器で音を聞く
        • 右肺(無音かどうか)、左肺(無音かどうか)、胃・みぞおち(ポコポコという音が聞こえればok)
    3. チューブの長さを確認
      • 挿入時につけておいた印は鼻の入り口にあるか?
  3. 薬を注入する
    1. 少量の水で溶いた液を適切なスピードで注入する
    2. 薬杯(薬を溶くカップ)に少量の水を入れ、再度注入する
      • 薬杯に残った薬も残さず溶かすため
    3. しあげに白湯を少量(2〜3mL)流す

 胃にチューブが確実に入っているかの確認を毎回必ず行うこと。それ以外は特に難しい行程はない。退院までに聴診器買わなきゃなあ。

乗用玩具でハッスル

 プレイルームがお預けのはる君だけど、幼児用の乗用玩具は使ってもよいとの許可が出た。さっそくまたがって出発進行!!

 最初はとまどって足にも力が入らなかったけど、動かそうと体を前後にゆすったり、片手を高らかに掲げたりして楽しみはじめた。
 手術の前もまたがって遊んでいたから、きっとすぐに遊び方を思い出してくれるはず。

食事量


 上が食べる前、下が食べた後。これしか食べられないんじゃ、体重減るよね。

 早く帰りたいのはやまやまだけど、この状態で帰るのはわたしが不安!

注入手技実習

 夜の栄養剤注入を、看護師さんと一緒にやってみた。イメージトレーニングの成果はばっちり。初めてやることを、となりでマンツーマンで指導されるというのはそれなりに緊張感があるので、あらためて看護師さん、お医者さんってすげーな、と思う。
 注入手技メモについてはまた後日改めて。

はる君2歳の誕生日

2018/04/25(水) テイクダウン後127日目

 2年前の深夜、はる君は生まれた。
 予定日を超過してもお腹にいたので、入院して陣痛促進剤を使用して陣痛を起こす計画だった。

 前日に入院し、子宮口を広げるためにバルーンを使用して待機するのだが、その際のトラブルから急に陣痛がつき、結果として促進剤を使うことはなかった。小さめだとずっと指摘されていたが、ギリギリ2500gに達していた。

 この子の名前には「はる」という音を入れようと夫と決めていた。春はたくさんの生命が芽生える季節だから。

はる君王子の凱旋

 こうして2歳の誕生日は病院で迎えることになったんだけど……
 ……こんなこともあろうかと、フエルトの手作り王冠を用意していたのだ(去年の使い回しだけど)!

 6時台に起きたはる君と病棟を散歩していると、王冠に気がついたおねえさん達数人の方が、その場ではる君を囲んで「ハッピーバースデーのうた」を歌ってくれた(1回目)。

 出会う人出会う人が、口々にはる君に「おめでとう」と笑いかけてくれるので、朝からご機嫌に。

はる君王子、ケーキをお召しになる

 とてもいい気分でおやすみになったので(お昼寝したので)、病院を抜け出してケーキ*1
とノンアルコールビール、ディナー用のご馳走を買ってきた。

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 王子、お味のほどはいかがでしょうか?

 ……かなりお気に召されたようですね!!

 生クリームなんて早いかな〜と思いきや、相当気に入ったみたいで、びっくりするくらいぱくぱく食べてくれた。病院のご飯以外ならもりもり食べるかも?とすこし希望がわいた。


 結局ベビースターラーメンも食べる……甘いものとしょっぱいものを交互に食べるという、お口の幸福エンドレス技をいつのまに習得したのか
 
 病室でケーキを食べていた時にも、その場に居合わせた方々がバースデーソングを歌ってくれた(2回目)。

病院からのプレゼント


 はる君の大好きな成瀬さん(仮名)が、お手製のバースデーカードに手形を押してくれた。

 その後、病棟を散歩していたら、鈴原先生(仮名・今春からのサブ主治医)と看護師さん達に囲まれ、本日3度目のバースデーソングを贈ってもらった。はる君はきょろきょろと周りを見回しながらニコニコしていた。


 手形は加筆されてかわいらしいぞうさんになっていた

素晴らしい日

 正直、自宅で家族で誕生日のお祝いができなかったことは残念に思ってた。
 でも、誕生日当日にこんなにたくさんの「おめでとう」を生で直接受け取る経験なんて他にあるだろうか。

 スパンコールのついた服を着て、いつもよりしっかりメイクして、王冠をかぶったはる君がニコニコしてて、ケーキもご馳走もあって、会う人全員が祝ってくれて、思い描いていたのとはすこし違うけど、想像を超える素晴らしい誕生日になった。良い一日だった。


 ↑ちなみにスパンコールの服というのはこういうやつです

一日の終わり


 はる君はぐずることもなく、微笑みながら眠りについた。きょうはみんなお祝いしてくれてうれしかったね。

 22時、栄養剤をはじめてひとりで注入した。これなら大丈夫そうだ。チューブがきちんと胃に留置されているか確認することを怠らなければ、注入それ自体はさほど難しくない。
 鼻にチューブ入れるの怖いけど、やらなきゃな。(はる君には気の毒だけど)かあちゃん、がんばるよ。


☆  ☆  ☆

 融けた雪が谷川を潤し、草木が芽吹き、動物達が目を覚ます春。春の名前をもらった君は、厳しい冬を耐えて弾むようにかがやくだろう。これからも。

*1:コージーコーナーのコージープリンセス。