夜明けの心臓

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

心臓病児の発達について、はる君のいま

左心低形成症候群は先天性心疾患(生まれつきの心臓病)のなかでも最も重い部類に入る。
以前にも軽く触れたが、先天性心疾患の子どもの発達は、そうでない子に比べて遅れがちになることが知られている。
血行動態の異常による低酸素状態が続くことや、心臓手術が高次脳機能の発達に影響をおよぼすんだろう、というのは素人にだってわかる。

発達についての記事を書こう、書こう、と思っていたけどなかなか筆が進まなかった。
生命の危機を乗り越えたと思ったら、今度は発達の心配をしなきゃいけないだなんて、神様(いるなら)はどれだけわたし達を試すの……?

ただ、わが家には発達障害の兄・あき君がいる。そのおかげであらかじめ少しは知識があった。
風邪に気をつけること以外は、おだやかな日常を送っている。


はる君の発達

はじめて発達について相談したのは、1歳の時だ。
手術がひと段落し(両方向性グレン手術)、心臓の主治医に「運動制限なし」のお墨付きをもらってからはすぐにリハビリが受けられる病院に電話をかけた。

それから小児神経科で診察を受け、まずは歩行機能の獲得を目指すことになった。
月に1~2回の理学療法(略称・PT)を、はる君は毎回楽しく受けていた。

フォンタン~テイクダウン手術後に一時中断したが、退院後に再びPTを開始。

現在は月1回のPTに加え、言語療法(略称・ST)も1~2ヶ月に1回行っている。


現在の発達

8月に受けた新版K式の結果、発達指数(DQ)は55の判定となった。
詳しい説明は省くが、DQは標準を100とする指標だ。
はる君は約一年くらい発達が遅れている。

発達年齢(DA) 発達指数(DQ)
姿勢・運動 241日(0:8) 29
認知・適応 517日(1.5) 62
言語・社会 582日(1.7) 70
全領域 456日(1.3) 55

↑運動の発達段階がつたい歩きで止まっているので、姿勢・運動領域の低さが目立つ。
認知、言語についても低めだが、表出している言葉以外にも理解はできてそうな雰囲気はある(わかんないけど)。

現在の気持ち

自分でも意外なほど、困ってない。
はる君は三兄弟の中でも一番気性がおだやかで、外出が苦にならない。
それから、片付けが得意。
子どもらしい暴れ方もするけど、まあ上二人に比べたらどうということはない程度だ。
うーん、発達段階が1年遅れなら、魔の二歳児の時期が来るのも来年なのかもしれないね。

日常生活を送る中で、発達の遅れを意識することはそれほど多くない。
それは、はる君が活動するのがほぼ家庭内に限られているからだ。
社会(たとえば保育園や幼稚園)との接点がなければ、発達の遅れによる困りごともない。

風邪を引くと不可逆的な病変がもたらされるかもしれない。フォンタン手術*1までは集団生活は控えるよう、主治医からも言いつけられている。
(当然だけど、病状によってはグレン手術後に集団生活が可能と判断される場合もある)


重い心臓病児は、小学校入学までに発達が追いつけば優秀、と言われる。
ちょうど発達が一年遅れているなら、就学も一年ずらしてくれればいいんだけど、ダメかなあ。
調べると、就学猶予なる制度が一応存在はしているようだが、現代においては一般的ではないらしい。
はる君のような重い心臓病児や超低体重出生児も全員まとめて6歳になったら小学生ね!って無茶でしょ、ふつうに考えて。
一年待って追い付くなら、それがいいんじゃないかと思うんだけど……。


☆  ☆  ☆

はる君がいよいよ一人で歩けそう。すごく嬉しい。
リハビリ(PT、ST)の内容や感想はまた別に書きたい。

つかまり立ちしていた時に、つかまっていた手を一瞬離して立っていたのを目撃した。
目をキラキラさせて、すごく得意げな笑顔でわたしを見る、はる君。
はる君は今日もとてもかわいい。

*1:チアノーゼのない血行動態にするための根治手術