社会保障制度を使おう(小児慢性特定疾病編)
身体的、精神的に障害のある子を育てる親に支給される“特別児童扶養手当”、障害の度合いに応じて料金の優遇などが受けられる“障害者手帳”にくらべ、メリットがいまいち分かりにくい“小児慢性”。
小児慢性って一体何?取得した方がいい?との声もちらほら聞かれますので、わが家が小児慢性を取得した理由とメリット/デメリットについて簡単にまとめました。
小児慢性とは?
小児慢性特定疾病対策、すなわち“小児慢性”は子どもの慢性疾患を国が支援する仕組みです。
- 医療費助成
- 研究事業
- 自立支援事業
これらの事業を行なっています。
患者家族の間で単に“小児慢性”と言うときは、主に医療費助成制度のことを指すと思います。
小児慢性を取得することができるのは、厚労省が定めた762疾病となります。
病院や保健所は該当するかどうかを積極的には教えてくれないので、調べてみましょう。
検索はこちらのリンクから↓
小児慢性特定疾病情報センター/対象疾病/その他の検索
医療費助成の内容は?
この表をざっくり解説すると……
- 月の上限額(収入・重症度によって変わる)を超えた分は自己負担なし
- 食事療養費(入院中の食費)が1/2
乳幼児医療受給者証、子ども医療受給者証で通常の診療が無料な方は受けられる恩恵が少ないように見えるかもしれません。
東京都内は中学卒業まで医療費が無料ですが、わが家は小児慢性を取得することにしました。
小児の医療費助成が弱い自治体にお住いの方なら検討する価値は十分でしょう。
食事療養費について
食事療養費は1/2となります。
2019年7月現在、食事療養標準負担額は1食につき460円ですが、小児慢性特定疾病児童等の場合は1食260円です。
この1食260円の1/2が助成対象となります。
つまり、1食130円になるということです。
1ヶ月入院した場合の食事療養費は小児慢性の適応がない場合、460円×3食×30日=41400円です。
小児慢性の適応がある場合は130円×3食×30日=11700円ですね。
※ただし食事療養費の助成は暫定措置とされており、将来的にはなくなる可能性もあります。
申請の方法
- 申請の前に、現在かかっている病院が指定小児慢性特定疾病医療機関であること、小児慢性の対象疾患であることを指定医に確認しておきましょう。
- 小児慢性の対象なら、意見書(≒診断書)を書いてもらうよう医師に依頼します(所定の料金がかかります)。出来るまで2〜4週間ほど時間を要します。
- 受付窓口は各自治体の保健所です。まず申請書類を受け取り、必要事項を記入したら意見書と一緒に提出します。小児慢性には審査があります。意見書のコピーをとっておくのを強くお勧めします。
- 審査が通れば、申請時から医療費助成の対象になります。医療受給者証と同封の案内に還付申請の方法が記載されているので、領収書は取っておきましょう(乳幼児医療証や子ども医療証で無料の方は不要です)。
メリット/デメリット
入院が多い場合恩恵が多い
手術や検査の予定がある場合にも入院の日数が多くなりますね。いつ入院になるか分からない難病児にはこれが一番大きいメリットになると思います。
研究事業である
小児慢性は国の研究事業です。わたし達の子どものデータから得られた知見がこれからの子ども達に生かされるかもしれません。
自立支援事業がある
2019年度から始まった事業です。今後就園や就学を控えていますので、幼稚園・保育園・小学校と患児の間に入って調整などをしてもらえるかも?と期待しています。
20歳まで延長できる
加入できるのは18歳までですが、それまでに小慢を取っていれば20歳まで延長可能です。指定難病の助成までのつなぎに使えます。
指定医療機関でしか使えない・該当の病気でしか使えない
申請時に指定した病院・薬局・訪問看護ステーションなどの医療機関で、該当の病気の治療にしか使えません。はる君は左心低形成症候群と先天性横隔膜ヘルニアの治療の時のみ使え、一般的な風邪や他の病気にかかった時には使えません。
毎年更新が必要
一年毎に更新があり、その度に料金がかかる意見書を用意しなくてはいけないのが大変です。
まとめ
以上を踏まえると、
- 入院が多い
- 乳幼児(子ども)医療費助成が手薄い
どちらかに当てはまる方は小児慢性の助成を多く受けられそうです。
公式サイトはこちらです。
https://www.shouman.jp
さらに詳しく知りたいかたは公式サイトをご覧になるか、保健所にお問い合せをお願いします。
障害者手帳についてはこちらに書きました。