夜明けの心臓

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

ふりだしに戻る(PICU12日目)

2018/01/05(テイクダウン後18日目)

 左胸からの胸水の漏れについて、ガーゼで抑えるのみの処置をされていた。あいにく昨日は主治医が不在で話を伺えなかったが、今日はシマノ先生(仮名)の外来日だから院内にいるだろう。聞いてみよう。

今日のはる君

 おはよう、はる君。ゆたぽん*1で温められていた。体温が下がってしまったようだ。はる君の担当の看護師さんに、状況に変化があるので主治医の先生から説明したいと言っている、と告げられた。動揺を止められない。くそ、泣くもんか。状況の変化って言われても、はる君はもう3週間もの間眠っていて、泣きも笑いもしなくなった……。

人工呼吸器と経皮的酸素飽和度

FiO2 90%
プレッシャーサポート 14
換気数 26
SpO2 76%

SpO2…経皮的酸素飽和度、血液中の酸素の値。基準値は100%。
FiO2…人工呼吸器の吸気に含まれる酸素の濃度。
 昨日と変わらず。

首からの点滴が抜けた

 肺の血管を広げるための薬(エポプレステノール)を入れていた首の点滴が抜けた。が、エポプレステノール自体は鼠径部からに変わっただけで中止ではない。強心剤が一本減り、ブドウ糖の点滴と別の薬が増えている?

体温が下がる

 10時頃に37.0℃の発熱があったので水枕で冷やしたところ、その後体温が下がり34.1℃になってしまったそうだ。それからすぐ温めはじめて、今は35.7℃まで上昇した状態だ。はる君、こんなに体温調節機能も落ちているのね。思い返すと、この日知ったことのうち実感として一番ショックだったのはこのことだった。

主治医のおはなし

Dr.ツマブキ(仮名)

  • 腹水が赤い
    • ワーファリン*2を中止に
  • 血液検査の結果、フィブリノゲン、血小板(いずれも血を止める成分)の値は閾値内におさまっている
  • ヘモグロビン*3の値も12〜13と正常
  • 外科主治医伊集院先生(仮名)にドレーン*4を抜いた後の傷を診てもらったが、まだ胸水は刺せるほどは溜まっていない
  • 利尿剤と抗生物質を追加した

 ずっと横ばいで推移してきているから、人工呼吸器の影響で肺に不可逆的なダメージがあるのではないかと心配になった。短期的には誤嚥、長期的には圧力が高すぎた場合に肺胞が傷む可能性があるが、細心の注意を払って調整をしているので可能性としては低いと言われた。
はる君は今まで「可能性としては低い」ほうのカードを引いてばっかりだから、気やすめにもならない。

主治医のおはなし・2

 メインの主治医のシマノ先生(仮名)も、外来診療の後で来てくれた。開口一番、「ふりだしに戻りました」と言われたので、言葉につまった。

  • 昨日(1/4)、左胸のドレーンを抜いた傷口から胸水が大量に(90cc)漏れた
    • (その後はSpO2が回復)
  • ミルクを中止した
    • 80ccのミルクを1.5時間で流すように調整してもSpO2が下がってしまうため
  • 血液検査の結果、何らかの菌に感染した疑いが浮上
    • 早めに抗生物質を投与する
  • 胸水がまだ出ているが、外科的には今は刺せない
  • 血液混じりの腹水が出続けている
  • 輸血を継続している

 ふりだしに戻ったというのは、ミルクが中止になったことを指していた。80ccなんて、コップ半分の量。生後1ヶ月の赤ちゃんのようだ。ミルクすら飲めないなんて、そんな、はる君。感染も心配だ。


 正直、かなり、つらい。初めての手術の時も苦しかったけど、1歳7ヶ月のはる君と過ごしたたくさんの思い出がある分、悲しみが余計に深くなった。だめだ、涙が出てしまう。

*1:

レンジでゆたぽん

レンジでゆたぽん

*2:血液をサラサラにする薬

*3:酸素を運搬するタンパク質

*4:溜まった水を抜く管