夜明けの心臓

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

インフォームドコンセント(術前説明)

2020/04/08のインフォームドコンセント(術前説明)の内容です

インフォームドコンセント(術前説明)

執刀医は初回手術からフォンタンテイクダウンまで、はる君の心臓手術を一手に引き受けてくれている。

よいフォンタン手術の条件

フォンタン手術が成立するのに重要な条件が3つある。

  • 肺動脈の流れやすさ(肺動脈圧が低いこと)
  • 心室の機能がよいこと(心臓のポンプが強いこと)
  • 三尖弁の逆流が少ないこと(使える弁がこのひとつしかないので)

前回のフォンタンよりも条件は良いと言われた。いい知らせだ。

はる君はいつも心臓のポンプの動きがよいと言われている。それはノーウッド手術がうまくいっていたから、大動脈から冠動脈によく血液が流れているってことなんだろう。

前回テイクダウンに至ったのはなぜか?

執刀医は“先天性横隔膜ヘルニアがあったため、呼吸器機能が低下していたからではないか”と推測していた。
それから、心不全の状態もより悪く、肺動静脈瘻もあった。
今回は横隔膜ヘルニアは根治術を受けたあとだし、肺動静脈瘻もわずかに改善している。

手術の内容

今回はフェネストレーション付(開窓)TCPCフォンタン手術となる。

右室から肺動脈につないでいた人工血管(RV-PA conduct)は不要なので取る。
上半身のグレンの血流と、下半身からの血流を18mmの太さの人工血管でつなぐ。これにより上半身と下半身から戻ってきた血が直接肺に流れ込むことになる。
ただし、急に圧力が高まりすぎるのを防ぐために人工血管と心房の間に穴を開ける(=フェネストレーション)。これによって、より安全にフォンタン循環で暮らせる。

肺動脈の形成

問題になっていたのが肺動脈の変形だった。
肺動脈自体については、肺動脈を切開して人工布をあててひろげることになった。

CTで検討したが、やはり大動脈に押されて十分に拡張できるスペースがなさそうだということになった。


これはカテーテルの際の写真。
太い太い幹が大動脈、それからヒョロっとでている根っ子が元々の大動脈。
この太い大動脈も切開して拡張するかもしれない。


こんなふうに。


ただし、心臓手術は大動脈をクリップではさんで行うので、ぬいしろなどが物理的に無いかもしれない。
万が一冠動脈につながるところを傷付けてしまっては取り返しがつかないので、無理はしないで肺動脈の形成だけ行うかもしれない。

また、完全に循環を停止して手術を行う可能性がある。
その場合には脳などへのダメージを最小限にするために身体を冷やす。

フォンタンとして成立することが絶対条件なので、挑戦的なことはしないかもしれない。

その他

ここからは箇条書き。

  • 左心低形成症候群のフォンタン死亡率は1%ほど。他の単心室より悪い。
  • しかしこれ以上フォンタンを待たないほうがよいと思う
  • 手術全体では5〜6時間かかる見込みたが、癒着がひどければはがすのにさらに時間がかかる
  • 人工心肺を使う時間はなるべく短くなるように努力する
  • 尿さえでれば循環が回っているから、とにかく尿が出ることが大切

予想されるICU入院期間は3〜7日間。
その後は胸水や腹水が引いて、ワーファリンの調整をして……と2〜3週間の時間がかかる見通し。


今度こそ、大丈夫な気がする。違うな……これは願望だ。
でも、わたし達ができることはもうない。
先生、よろしくお願いします。