夜明けの心臓

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

心臓カテーテル検査の結果(2020/08)

心臓カテーテル検査の結果(2020/08)

フォンタン手術をしてから3ヶ月が経った。
今回のカテーテル検査ではフォンタン循環が成り立っているか、肺血管の状態はどうか等、普段の外来診療では確認できない部分を診る。

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心収縮

心臓の機能、血液を吸い込む力と押し出す力がどうか?を調べてもらった。
心拍出量も良く、三尖弁・大動脈弁の逆流も少なく、心機能は良好とのことだった。

肺動脈

肺動脈は前回の手術でパッチをあてて太く形成してもらった。だけど、まだ細いようだ(3~4mm→5mm)。
肺動脈の圧、中心静脈圧は低く保たれている。

開窓部

はる君は右房と人工血管との間に穴が開いている。いわゆる「穴開きフォンタン」だ。
これは大泣きしたり、ふんばったりして圧力がかかったときに、穴から余計な圧力を逃すためにある。
開窓部はしっかり開いており、問題なさそうとのことだった。

試験的に開窓部をバルーンで閉じてみたところ(閉窓試験)、本来ならSpO2*1が100近くになるはずが、89%くらいに留まっていた。その理由は次の項目で。

肺動静脈瘻

肺から戻ってきた血液の酸素飽和度を調べたところ、89%だった。肺のガス交換が上手くいっていない。
右肺の肺動静脈瘻(はいどうじょうみゃくろう)のため、肺の酸素化の機能が下がっているからだ。
肺動静脈瘻は最後の手術がフォンタン手術となる子どもで、グレン手術後の状態が長く続いた時に起こることがある。
肝臓からの因子が関係しているようで(仕組みは解明されていない)、フォンタン手術によって肝臓からの血流が肺に流れるようになれば改善される可能性があるそうだ。
肺動静脈瘻については、改善を待つしかない、とのことだった。
それでもフォンタン後は全身の酸素飽和度がぐっとあがったから、はる君的には身体も楽になっただろう。実際、すごく元気になったしね。

フォンタン後に発生した不整脈が心配だが、今回のカテーテル検査中は脈は正常だったとのこと。
ただ24時間の心拍モニターをしたら、ところどころ不整脈が出ていた模様。
今すぐに何か処置が必要な感じではないが、経過を見ていくことになった。

利尿剤が減り、体重増に伴ってエナラートが少し増えた。
アスピリンとワーファリン(両方血液サラサラ薬)は増減なし。
肺高血圧薬のアドシルカもそのまま。
血液検査の結果貧血が見られたため、フェロミア(鉄剤)が追加された。

今後の方針

今回の検査結果は外科も加えてカンファレンスにかけられ、今後どうするか次回の外来で伝えてくれることになった。
肺動静脈瘻は改善を待つしかないが、肺血管の細さについては今後なんらかの処置が必要になるかもしれない。
方法としては、バルーンで肺血管を広げることと、ステント(金属でできた筒状の網)を肺血管に置くことが考えられる。

在宅酸素療法について、日中は免除、夜間は継続となった。
正直、このことが一番うれしかった。どこへ行くにも重いボンベをかついで移動するのは大変だったから……。
何度も言っているけど、フォンタン手術後在宅酸素が終わったら、みんなでお祝いに焼肉に行こうと言っていた。
これでようやく願いが叶う。


そういうわけで、今日は在宅酸素日中卒業祝いパーティーの焼肉に行ってきます!

*1:酸素飽和度。血液の中に含まれる酸素の値。健康な人なら100〜99%